ラテンアメリカ文学
岩波文庫の12月予定(同社メルマガ情報)網野善彦『中世荘園の様相』J・L・ボルヘス/内田兆史・鼓 直訳『シェイクスピアの記憶』ヘルダー/嶋田洋一郎訳『人類歴史哲学考 2』マックス・ウェーバー/野口雅弘訳『支配について I 官僚制・家産制・封建制』 …
楽園への道 (河出文庫) 作者:マリオ・バルガス=リョサ 河出書房新社 Amazon この世で一番小説が上手いんじゃないか。バルガス=リョサの作品を読むたびに、そう思わされてしまう。とんでもない馬力と、繊細な詩情と、それを表現する筆力がひとりの人間に宿…
honto.jp しばしば処女作には作家の全てが表れるとされるが、フリオ・コルタサルもその例に漏れない。夭折した親友に捧げられた本短編集は、紆余曲折を経た後にお蔵入りとなり、コルタサルの死後(一九九五年)に出版されるまで幻とされていた作品集だ。 一…
八面体 / 原タイトル:Octaedro[本/雑誌] (フィクションのエル・ドラード) / フリオ・コルタサル/著 寺尾隆吉/訳価格: 2420 円楽天で詳細を見る 人は変わらずにはいられない。コルタサルも七〇年代以降は政治活動に身を投じ、創作への熱意をそのぶん政治へ転…
マイタの物語 (フィクションのエル・ドラード) [ マリオ・バルガス・ジョサ ]価格: 3080 円楽天で詳細を見る ラテンアメリカ文学を語る上で政治の話は欠かせない。ガルシア=マルケスをはじめ、コルタサルやフエンテスなど、多くの作家が政治的な趨勢への反…
ホルヘ・ルイス・ボルヘス。アルゼンチンが生んだ二〇世紀の世界文学上最大の作家の一人で、「知の工匠」「迷宮の作家」等の異名を持つ巨匠である。日本でも大変人気があり、現在では岩波文庫に著作の多くが収録されている。 さて、彼の作風の最大の特徴は、…
お笑いコンビ・Aマッソのネタに「新しい友達」というものがある。実際の映像は「Aマッソ 新しい友達」などで各自検索して頂くとして、以下ではそのネタの話をしたい。 まずボケ担当の村上が、ツッコミ担当の加納に「新しい友達ができた」と言う。「Pちゃん」…
犬を愛した男 [ レオナルド・パドゥーラ ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 小説・エッセイ > 外国の小説ショップ: 楽天ブックス価格: 4,320円 レフ・ダヴィドヴィチ・トロツキー。ロシア十月革命における指導者の一人としてソビエト連邦建国に関わった後、ス…
小説を書く上で必要なリアリティを、小説家はどこから得るのか。最も手っ取り早いのは、自らの経験をそのまま小説に落とし込むことだろう。だがそれにも限界はあり、文豪ジョゼフ・コンラッドもそれに悩んだ一人であった。本作は彼が著した『ノストローモ』…
――エロ漫画か? 本書を読んで抱いた、評者の率直な感想だ。 まず冒頭の挿話からしておかしい。舞台は一九二〇年代のスペイン・マドリード。ニカラグアの首都マナグアに生まれ、外交官の娘としてマドリードに住む主人公ブランカ・アリアスは、ロリア侯爵こと…
読みにくいよ、この本。 『族長の秋』『至高の我』と並んでラテンアメリカ文学の三大独裁者小説と称される本作だが、カルペンティエールのまどろっこしい文体——人称が交錯する語り、延々と羅列される固有名詞、そして今あなたが読んでいるような挿入句の多用…
表題にある「ガラスの国境」とは、メキシコとアメリカ合衆国の国境のことを指す。 本来、国と国を隔てる国境とは、社会的な取り決めでしかない(陸続きの土地に何故境目が存在せねばならないのだろう?)。ゆえに、国境とは透明で実態のない存在であるべきは…
本作が日本語に初めて訳されたのは集英社版《世界の文学》の一巻として出版された一九七六年。八四年には同じく集英社から叢書《ラテンアメリカの文学》内の一冊として再刊されたものの、それから三〇年余り――世紀を跨いで二〇一八年を迎えるまで――このラテ…