機械仕掛けの鯨が

読んだ本の紹介など。書いてる人:鯨井久志

2021-06-11から1日間の記事一覧

著者の全てが表れた、奇想と寓意に満ちた神経症的初短編集――フリオ・コルタサル『対岸』

honto.jp しばしば処女作には作家の全てが表れるとされるが、フリオ・コルタサルもその例に漏れない。夭折した親友に捧げられた本短編集は、紆余曲折を経た後にお蔵入りとなり、コルタサルの死後(一九九五年)に出版されるまで幻とされていた作品集だ。 一…

創作とは、一種の「悪魔祓い」である――フリオ・コルタサル『八面体』

八面体 / 原タイトル:Octaedro[本/雑誌] (フィクションのエル・ドラード) / フリオ・コルタサル/著 寺尾隆吉/訳価格: 2420 円楽天で詳細を見る 人は変わらずにはいられない。コルタサルも七〇年代以降は政治活動に身を投じ、創作への熱意をそのぶん政治へ転…