SFが読みたい!2024年版 早川書房 Amazon チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク (竹書房文庫) 作者:ジョン・スラデック 竹書房 Amazon 毎年恒例のムック本『SFが読みた…
あけましておめでとうございます。 2023年は初の訳書が出たり、初めてSFマガジンに翻訳を載せていただいたりと、活躍の場を広げることができた一年でした。周囲の方々のお気遣いや応援あっての賜物です。本当にありがとうございました。 本職の方では、後期…
現代川柳「蟹と炙り寿司」(鯨井久志&蟹味噌啜り太郎) 蟹の鳴くところにすこしグーを出す 炙り寿司逃走中の蟹確保 蟹と見間違うほどの庭園 指切りで息殺す蟹とその子ども 蟹の代わりに握ってやる掌 山折りに殻は積むのと笑う蟹 蟹と手を繋ぎあわせて飯を食…
kyofes.kusfa.jp 京フェスに登壇することになったので、それも含めて自分なりのまとめ。 大体Twitterからのコピペ。 www.uncannymagazine.com "Rabbit Test" by Samantha Mills 読んだ。未来の妊娠中絶を巡る物語の中に、これまでの女性たちと妊娠検査・中絶…
note.com 大体上の記事を読んでいただければ分かるのですが。 今回もツテを最大限活かしてがんばりました。いい誌面になったと思います。伴名さんまで登板してくれて本当にありがたいです。 そして大目玉はカモガワ奇想短編グランプリの受賞作。約100作のな…
※本稿は鯨井の執筆のものではなく、桃山千里氏によるものですが、特別な許可を得て掲載しています。 失踪者―カフカ・コレクション (白水uブックス) 作者:フランツ カフカ 白水社 Amazon はっきり言って、カフカというのは自分にとってよく分からん存在なので…
ヴァインランド (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第2集) 作者:トマス・ピンチョン 河出書房新社 Amazon どこから説明してよいのやら。まず言っておきたいのは、ピンチョンは変な作家であるということだ。ノーベル文学賞候補でありながらも覆面作家を貫き通…
黒檀 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集) 作者:リシャルト・カプシチンスキ 河出書房新社 Amazon ルポルタージュは文学か、と聞かれたらおそらくそうなのだろうと思うのだが、これまでの世界文学全集でそれに類したものが収録されていたという話は、不…
岩波文庫の12月予定(同社メルマガ情報)網野善彦『中世荘園の様相』J・L・ボルヘス/内田兆史・鼓 直訳『シェイクスピアの記憶』ヘルダー/嶋田洋一郎訳『人類歴史哲学考 2』マックス・ウェーバー/野口雅弘訳『支配について I 官僚制・家産制・封建制』 …
マイトレイ/軽蔑 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-3) 作者:アルべルト・モラヴィア,ミルチャ・エリアーデ 河出書房新社 Amazon ミルチャ・エリアーデといえば、ルーマニア出身の二〇世紀を代表する宗教学者にして、傑作『ムントゥリャサ通りで』(法政大…
賜物 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集2) 作者:ウラジーミル・ナボコフ 河出書房新社 Amazon ナボコフを読む時はいつも敗北主義的というか、負け腰になってしまう。凝りに凝った文体、さりげないほのめかし、言葉の魔術師の異名をひけらかすかのような言葉遊…
短篇コレクションI (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集) 作者:コルタサル他 河出書房新社 Amazon 実に周到なアンソロジーである。マジックリアリズムも、ポストコロニアリズムも、フェミニズムも、あるいはジャンルSFも、おおよそ「世界文学全集」を名…
某所で翻訳の話が進んでいたものの、版権料の折り合いがつかず流れてしまった企画のレジュメ。テッド・チャンがニューヨーカー誌に載せたAIと資本主義に関するエッセイ。興味のある関係各位はご連絡を。 www.newyorker.com AIは新たなマッキンゼーとなるか…
www.hayakawabooks.com SFマガジン2023年10月号に、拙訳のM・ショウ「孤独の治療法」が掲載されております。M・ショウはこれが本邦初訳の作家です。 今回は作品の選定段階からお任せされたこともあって、ノリノリで自分の好きな短編を訳すことができました。…
www.tsogen.co.jp 8月12日発売の紙魚の手帖 vol.12(東京創元社)に翻訳SFのレビューを書きました。 今回は「夏のSF特集号」ということで、以前刊行されていた書き下ろしSFアンソロジー『GENESIS』と合流する形で、SF中心の誌面になっています。 国内SFのブ…
ヴァージニア・ウルフによる怪談、というかフィクションにおける超自然的存在の描き方に関するエッセイ。 エッセイ・評論集"Granite and Rainbow"に収録されているが、テキストには"Collected Essays Volume Ⅰ"(A CHATTO & WINDUS PAPERBACK)を使用した。 …
今年から足しげくライブに通うようになって、いろいろと生でネタを見る機会も増えたので、自分のための備忘録も兼ねて10選を選んでみました。順不同。ネタバレはしないようにしております。 十九人「寿司屋」 ダウ90000「バー」 街裏ぴんく「あとひとおし」 …
クラッシュ (創元SF文庫) 作者:J.G. バラード 東京創元社 Amazon J・G・バラードとは一体何者だったのか? 従来のSFへ反旗を翻し、「内宇宙」をキーワードにSF界にニューウェーブ運動を起こした張本人。いわゆる《破滅三部作》で外世界のカタストロフ…
J・G・バラードの未訳エッセイを翻訳した。 テキストは雑誌《Re/Search》のJ. G. Ballard特集号を使用したが、初出はthe Sunday Express Magazine no.38, Dec.27,1981 のようだ。 十八歳の時に知っておきたかったこと とても答えにくい質問だ。多くの点で、…
百合小説の「居場所」をつくる | Peatix バゴプラ主宰の百合小説に関するトークイベント(河出書房新社の石川詩悠さんと、作家・翻訳家の紅坂紫さんの対談)をぼんやり聞いていて、少し前に古本屋で見かけた洋書のことを思い出していた。 The Penguin Book o…
韓松のエッセイを翻訳した。底本は昨日のインタビューと同じA Primer to Han Song。韓松流の中国SFが世界で受容されている理由の考察と、今後の行く末について。 Exploring Dark Short Fiction #5: A Primer to Han Song (English Edition) 作者:Guignard, E…
中国SF四天王の一人、韓松(Han Song)のインタビューを勝手に翻訳した。 底本は韓松初の英訳短編集 A Primer to Han Song、聞き手は Eric J. Guignard。短篇集についてのレビューは以前書いたのでそちらを参照。面白いのでぜひ買って読んでください。 han…
楽園への道 (河出文庫) 作者:マリオ・バルガス=リョサ 河出書房新社 Amazon この世で一番小説が上手いんじゃないか。バルガス=リョサの作品を読むたびに、そう思わされてしまう。とんでもない馬力と、繊細な詩情と、それを表現する筆力がひとりの人間に宿…
上京して3年目になる。 不案内な土地を知るには足で稼ぐのが一番と思い、休日には降りたことのない駅で降りる事が多かった。そこでよく目的地に設定したのが古本屋だ。 東京にはたくさんの古本屋がある。有名な神保町の古本屋街をはじめ、中央線沿線など一駅…
SFマガジンの1回目の百合特集に書いた書評より。『四人制姉妹百合物帳』は剃毛百合の傑作ですよ。登場人物のひとりがバルガス=リョサ『都会と犬ども』読んでるし。 SFマガジン 2019年 02 月号 早川書房 Amazon *** つくみず『少女終末旅行』 全てが終わ…
第七女子会彷徨(1) (RYU COMICS) 作者:つばな 徳間書店(リュウ・コミックス) Amazon 誰が言った言葉だったかは今思い出せないのだが、SFとは目的であるというより手段だという。確かに、普段隠れてしまっている身の回りの物事や法則を未来的なガジェ…
この記事は、藤ふくろうさんが主催している「海外文学 Advent Calendar 2022」12月11日のエントリーです。 adventar.org カモガワGブックスVol.4 池澤夏樹編=世界文学全集全レビュー でお会いしましょう— くじらい (@hanfpen) 2022年11月20日 池澤夏樹編世…
流れに棹さすためには、水面に突き立てる棹がなくてはいけない。 本書がその棹にならんことを、 そしてカモガワの清き流れを絶やすことなく進んでいけるよう、願う次第である。 ――『カモガワ遊水池』序文より c.bunfree.net 11月20日開催の文学フ…
二十歳の誕生日、あなたは何をしていただろうか? わたしは「見世物小屋展」にいた。 発端は小学生時代に遡る。当時クラス内でさくらももこのエッセイ本が大流行しており、当時刊行されていたものはほぼ全て貸し借りのなかで読んだと思う。いまでも世界最高…
昔から寝付きのわるい子どもだった。 小学校二年生くらいから、既に眠れない夜の記憶があるし、旅行先などでは同行者が寝静まってしまったあと、明日の予定を思い浮かべて、早く寝ないと楽しい旅が台無しになってしまう……と思いながらますます眠れなくなって…