機械仕掛けの鯨が

読んだ本の紹介など。書いてる人:鯨井久志

ロシア文学

ウラジミール・ナボコフ『賜物』

賜物 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集2) 作者:ウラジーミル・ナボコフ 河出書房新社 Amazon ナボコフを読む時はいつも敗北主義的というか、負け腰になってしまう。凝りに凝った文体、さりげないほのめかし、言葉の魔術師の異名をひけらかすかのような言葉遊…

詩人の死に迫る、フィクションよりもフィクションなノンフィクション――小笠原豊樹『マヤコフスキー事件』

時に、優れたノンフィクションはフィクションに限りなく接近する。本書もそんな一冊だ。 舞台は1930年のロシア。そこである詩人が不審な死を遂げた。 現地警察は拳銃自殺と断定したものの、不可解な点の残る現場状況や彼を取り巻いていた環境、そして当時の…