機械仕掛けの鯨が

読んだ本の紹介など。書いてる人:鯨井久志

2022-06-21から1日間の記事一覧

読者の"愛"の概念を拡張するアンソロジー――『むずかしい愛 現代英米愛の小説集』

むずかしい愛―現代英米愛の小説集 朝日新聞社 Amazon 「○○ってなんだろう」と、ある概念について考える時の一つの方法として、「極端な具体例を考えてみる」というものがある。例えば「SFってなんだろう」と考える時に、妙な科学技術が出てこないにもかか…

「異人」としての老人を描いた特異なアンソロジー――『いまどきの老人』

いまどきの老人 朝日新聞社 Amazon 現実における「老い」の問題はたいてい悲観的だ。肉体的な衰え、介護問題、子や孫との確執、安楽死問題……。少年には無限の可能性がある(かもしれない。そうとも限らない)が、老人には「死」という歴然とした結末が可視範…